2024年1月 狭山商工会議所会頭新春挨拶ビデオメッセージ
令和6年年頭所感
皆様、新年おめでとうございます。令和6年の幕開けに際し、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、戦火による世界的な困難と課題に直面し、我が国の経済もその対応と変革を求められるなど、苦難の多い一年でした。そのような中、会員の皆様からは変わらぬご支援とご協力をいただき、心より感謝申し上げます。
迎える令和6年は辰年に当たります。辰年は陽の気が動き、万物が振動し活力旺盛になることで、「大きく成長し形を整える年」だと言われています。様々な課題に直面した昨年を乗り越え、大きな成長を遂げる一年となることを願っています。本年も、役職員一丸となって地域の活性化に努めますので、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
ここに、令和6年の年頭に際して私の考えや狭山商工会議所の活動についてのまとめをご紹介します。ご一読いただけますと幸いです。
<日本の未来に向けて>
【国際水準を意識する】
私が経営する会社は養殖業者との取引が中心です。毎年、最先端を走るノルウェーやヨーロッパ各国を視察し、現地の状況を直接体感しながら自らのビジネスを変革しようと努めています。昨年は6月に約3週間、ヨーロッパ各地を巡りました。その際、海外と日本の違いを痛感しました。
特に印象深かったのは、物価と人件費の差です。海外での食事は日本の約3倍の値段であったり、人件費も倍以上であったりすることが多いです。円安の影響もあるとは思いますが、それを差し引いても、日本の価値が「安すぎる」と感じました。日本がバブル崩壊後30余年デフレ政策を続ける間に、海外と比べ計り知れないほどの大きな差が生じていることを改めて実感しました。
【人材の流出を防ぐ】
2020年の日本人の平均所得は約430万円で、*世界で22位に位置していると言われています。隣国の韓国よりも平均所得が低い状況にあります。20年間で、各国の平均所得が伸びる中、我が国はほぼ横ばいと低迷しています。このような状況では、日本の消費が伸びることは難しいでしょう。最も心配なのは、このままでは日本の優秀な人材が海外へ流出し続けることです。人材の流出は、日本の付加価値の急落に繋がる可能性があります。私たち企業経営者は、この大きな流れをしっかり受け止め、人材が流出しない戦略を持つことが重要だと考えています。
*OECDドル建て
【付加価値を上げる】
優秀な人材を確保し続けるためには、企業利益を確実に保ちながら安定的に成長することが必要です。そのためには、コスト削減中心の経営から、付加価値創出型の経営への転換が求められます。新製品や新サービスの開発を常に追求し、顧客に適正な価格を設定することが、社会全体の付加価値向上に繋がります。進化する経営こそが、最大の防御となると考えています。
商工会議所では、小規模事業者を対象に付加価値向上を支援するため、新製品・新サービスの立ち上げ支援、経営革新計画の策定、販路開拓支援、生産性向上のための各種補助金の活用などを行っています。また、原油や原材料のコスト高に対応するため、政府や商工会議所が連携し、サプライチェーン全体の取り組みを支援する「パートナーシップ構築宣言」の普及拡大を図り、中小企業の適切な価格転嫁を支援しています。
【定住人口・交流人口の増加に向けて】
地域経済を向上させるためには、人口の増加と人の流れを促進することが基本です。世界を見渡しても、人口ピラミッドが逆三角形の国では順調な経済成長が見られません。一方で、GDPが高成長する国は、美しい三角形のピラミッドを描いています。先進国の欧米も子育て政策や移民政策を通じて、三角形に近い人口構成を維持しています。この状況は、地域経済の発展にも当てはまると思います。
近年、狭山市は行政の施策により、他市からの転入者が転出者を超える社会増に転じていますが、人口総数は減少しています。人口減少を食い止めるためには、子育て支援はもとより就労機会の確保が必要で、市内の遊休地などを活用した積極的な企業誘致を行うことが求められます。また、商店街や商業集積の活性化、再構築、および観光振興を通じて交流人口を増やす施策も必要です。外国人労働者を積極的に受け入れていくことも検討しなければなりません。これらについて商工会議所としても、行政と協力しながら地域経済の発展に向けて努力していきたいと考えています。
<令和6年に向けて>
令和6年は、中小企業が直面する緊急の課題への対応が重要となります。特に、インボイス制度への円滑な対応、最低賃金の上昇や原材料コストの高止まりへの対策が急務です。これらの課題に対して、商工会議所は生産性の向上支援や労働人材の確保に取り組み、会員事業所がこれらの課題に迅速に対応できるようサポートします。
また、令和6年は狭山市市制施行70周年を迎えます。この重要な節目にあたり、行政と連携を図り、地域社会の発展に貢献する事業を実施します。
<結びに>
令和6年の年頭にあたり、私の所感を述べさせていただきました。狭山商工会議所は、今後も地域経済の活性化に向けて一層の努力を続けます。皆様からの引き続きのご指導とご鞭撻を賜りたく、お願い申し上げます。末筆となりますが、事業者の皆様にとって飛躍の一年となることを心から祈念いたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和6年1月吉日 狭山商工会議所 会頭 後藤 清